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徳島地方裁判所 昭和25年(行)19号 判決

原告 永峰安夫

被告 徳島県知事

一、主  文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

二、請求の趣旨

原告は、「被告が昭和二十五年二月  日原告に対し賦課した不動産取得税金一万九千五百円の課税処分を取り消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決を求めた。

三、事  実

被告は原告に対し昭和二十五年二月頃不動産取得税金一万九千五百円を賦課する旨徳島市長名で納税傳令書を送付して來たので、原告は適法期間内に異議申立を爲したところ同年四月十五日付右異議を却下するとの決定が爲された。しかしながら右処分は次の理由によつて違法である。すなわち被告は原告の父訴外永峰正太郎の建築所有する徳島市佐古町四丁目四番地所在居宅一棟外附属建物に対する不動産取得税を原告に対し賦課したものであるが、右は該建物の建築許可届が原告名義で爲されたことからその所有者を原告と誤認したものであつて、原告は本年二十九歳であり、昭和十六年三月から昭和二十年終戰まで兵役に服し、帰還後はもつぱら家業の手傳をしていたもので独立收入の事実なく、本件家屋を取得する資金があり得ない。被告は右の事実調査を爲さず、建築許可が原告名義で爲されているとか、保存登記が爲されていないとかの形式的理由で本件処分に及んだのであるが、原告は右の事情を述べて、被告の係員に処分の取消を求めたところ調査未了のまゝ本処分に至つたものである。と述べた。(立証省略)

被告代理人は請求棄却の判決を求め、答弁として、「原告請求原因事実の中、被告が原告に対し昭和二十五年二月頃不動産取得税金一万九千五百円を賦課する旨徳島市長名義徴税傳令書を送付したこと、原告が適法期間内に異議申立を爲したこと、被告が同年四月十五日原告の異議却下の決定を爲したことはいずれもこれを認めるが、その余を全部否認する。本件建物の建築許可申請は原告名義で爲され、その他諸般の事情からその所有者は原告である。原告の父訴外永峰正太郎は昭和二十年七月戰災後家屋(本造平屋建)十五坪を取得し、その後昭和二十一年十月二日木造平屋建瓦葺八坪の増築申請を爲し、戰災復興院はこれを許可し、該申請部分の家屋を取得したが、同人は徳島市戰災前同市佐古町四丁目で家屋を所有していた事実があるので、被告は前記取得家屋については縣税賦課徴集條例第三十一條の規定によつて不動産取得税を非課税としたのであつて、原告は誤つて建築許可申請を爲したと主張するが右の通り訴外永峰正太郎はすでに相当の家屋を取得しているのであり、本件建物の建築許可申請書及び竣工届書によれば、同建物は「その他併用住宅」を目的とするから臨時建築制限規則によつて同訴外人の申請は受理されないのであり、誤つて原告名義で申請したという主張は成立しない筋合である。本件建物に関し訴外永峰正太郎からは地方税法に定める不動産取得届はもとより所有権保存登記も爲されていないので、結局右建築許可申請及び竣工届を基本として、原告所有と決定したものである。」と述べた。(立証省略)

四、理  由

被告が原告に対し昭和二十五年二月頃不動産取得税金一万九千五百円を賦課する旨徳島市長名義徴集傳令書を送付し、原告がこれに対し適法期間内に異議申立を爲し、被告が同年四月十五日原告の異議却下の決定を爲したこと、徳島市佐古町四丁目十七番地所在家屋一棟外附属建物が原告名義で建築許可申請され、被告が右家屋の所有権取得者を原告と認めて右のような課税処分に及んだことは双方爭はない。原告は右建築許可申請が原告名義で爲されたことは誤であり、眞実は原告の父訴外永峰正太郎名義で爲さるべきものであつて、その所有者は同訴外人である旨極力爭うので、この点につき考えるに成立に爭ない甲第二号証、乙第一、二号証に証人中西從夫の証言を綜合すれば、原告は右建物の建築につき、昭和二十四年二月十五日受付徳島縣知事宛臨時建築制限規則による建築許可申請書並に資材割当申請書を提出し、同月二十三日右申請は許可せられ、同時に徳島縣建築課より資材の割当を受け、同年三月二十六日原告名義で工事竣工届を爲したこと、徳島縣税務課吏員中西從夫が現物調査の際原告は本件建物の所有者は原告である旨意思表示を爲した事実をそれぞれ認定することができるのであつて、訴外永峰正太郎は徳島市佐古町四丁目四番地に居宅十四坪二合五勺をすでに建築所有していることは証人永峰正太郎の供述により明らかであつてもし本件家屋を自ら建築所有するとせば本件家屋の床面積十三坪五合を合せて二十二坪二合五勺となり、昭和二十三年九月十三日建設省訓令第二号建築物等許可準則第九條、第八條(ロ)により(本件建物が店舖、事務所等併用住宅であり床面積十三坪五合なることは乙第一号証によつて明かである。)制限超過となり、同訴外人名義の建築許可が得られないことが明かであるからこのような場合家屋増築にその実子である原告名義を用いることは條理上当然であり、原告主張のような誤があつたものとは到底思料されない。以上認定の諸事実を綜合すると本件建物の所有権はその竣工と同時に原告の原始取得に帰したものと認定するのを相当とする。右認定に反する甲第一号証に証人永峰正太郎の証言は措信しない。よつて原告の本訴請求は理由のないものとして棄却することゝし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八十九條を適用して主文の通り判決する。

(裁判官 今谷健一 合田得太郎 三木光一)

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